この世のwannaからmeを守る

この世の罠から身を守る方法を考えていきます。

ニンゲン 43

『何か聞こえた…』
近くで鉄板を何かで叩いたような音がする。雨の跳ね返りのようだと、彼女は言う。
『何か聞こえる?雨の音かな。あのさ…さっきの傷口から水が染み込んでしまったかもしれない…』
『いつから?足痛むのか?』
彼女の脚をそれとなく見る。
『ちょっと歩きにくいかな…でもいいの、今はアナタがニンゲンとして生きてく事が最優先だから…』
彼女は身近な方へ、話を補正する。
『すぐ直してやりたいけど…俺には知識が足りない…ごめん』
湿った服の切れ端で、少しばかりの応急措置を施しながら、変わらない彼女との"違い"にまともに取り付けず、自分の不甲斐なさを実感する。それまで誰かが担っていたことの、重大さに彼は気づく。
『大丈夫、私は生きて行けるから…』
『わかった…、先に"直して"しまうね』
そう言うと彼は、少し濡れた袋から、注射器を取り出し、中に液を入れた。
『ここに、射せばいいんだな…よし』
不慣れな手つきで針を射すと、そのまま一気に注入する。
『っ…ああああ』
彼は珍しく声をあげた。